上の総入れ歯 保険と自費の違い
2016年10月21日
上の歯がすべて無くなった場合に、保険内で作る総入れ歯と、自費(保険の利かない自由診療の範囲で作る)の総入れ歯についてご説明します。
そもそも保険とは
よく皆さんから「保険は利くのか?」という声を耳にしますが、そもそも「保険が利く」とはどういうことでしょうか?
日本ではアメリカとは違い、国民全員で保険料を支払っています。これは、病気や怪我の時に医療費がとっても掛かってしまうけれど、いつもみんなでカンパのように毎月出して、必要な人が必要な分だけ使える・・・そして元気な人がそれらをみんなで負担するというシステムです。
ですので、人によっては1~3割負担で残りの9~7割は国(みんなが支払ってくれている保険料から)が負担するという仕組みです。助け合いのシステムですね。
ですので『国民皆保険制度』というのです。
材料が決まっています
保険が利く材料やお薬は国が厳しくきちんと定めています。
皆が平等に受けられるようにと、そして支払ってくれる他の多くの人が支払いに困難にならないようにと、使える材料は決められています。
昔に比べれば、材料も良いものが保険内で使えるようになったり、企業の努力で材質が良くはなっています。
保険の総入れ歯
保険の総入れ歯はプラスチックで作ります。
プラスチックである以上、落とすと割れてしまったりもします。さらに、プラスチックなのでどうしても厚く作らざるを得ません。
厚いということは、違和感があり、味や温度も感じずらいと言うことになります。
自費の総入れ歯
自費の入れ歯と保険の入れ歯の感覚の違いは口蓋部(「こうがいぶ」・・・お口の中の上側の壁のこと。前のほうを硬口蓋「こうこうがい」、奥のほうを軟口蓋「なんこうが」と言います。)に、コバルトやチタンなどの金属を使用できます。
これによって厚さを1ミリ以下まで薄くすることが出来るのです。
これによって、入れ歯の違和感がかなり軽減します。
噛みやすさがまるで違う
金属を使えるということは、入れ歯自体の剛性(曲げの力に対する変形のしずらさの度合いのこと)が、保険のプラスチックのものとは全然違うので、きちんと硬いものも噛める様になります。
もちろん、金属なので熱伝導もプラスチックより熱い・冷たいが分かりやすいのです。
種類も豊富になってきている
自費の義歯(入れ歯)と言えばコバルトを使うのが昔からスタンダードです。
最近使われるようになったチタンは生体親和性があり、金属アレルギーの起きる可能性が極めて低いというメリットがあります。さらにコバルトに比べて軽いので装着感が良いです。
基本的には、保険のプラスチック、コバルト、チタンの3種類が上の総入れ歯になります。
患者さんによっては、薄い粘膜面にシリコンを塗ったコンフォートという義歯や、ゴールド(金)を使用した義歯(入れ歯)もあります。
患者様には、しっかりと検査・検診をさせていただいた上で、どのような義歯(入れ歯)が最適なのかを、分かりやすく丁寧にご説明いたします。
ご予算や入れ歯の製作期間についても相談とご説明いたします。